東京高等裁判所 昭和33年(ラ)544号 決定
抗告人は前掲競落許可決定言渡後即時抗告期間内に当裁判所に抗告状を提出しているが、記録を精査するも抗告人個人が競売法第二十七条及び同法において準用せられる民事訴訟法第六百八十条にいう競落の許否に付ての決定に因り損失を被るべき利害関係人に該当すると目すべき何等の資料がないから、若し抗告人が個人として本件抗告をなす趣旨であるとすれば既にこの点において不適法として却下を免れない。尤も記録によると抗告人は本件競売手続における物件所有者海老原商事株式会社の代表者(代表取締役)であることが認められるから、前掲抗告状の抗告人の記載は抗告人個人としての表示でなく同会社の代表者として本件抗告をなす趣旨であると解せられないでもない。しかし仮りに前示物件所有者である会社の代表者として本件抗告をなす趣旨と解しても、本件抗告状には抗告理由は追て書面を以て陳述すると記載されているにかかわらず、今に至るも抗告理由を補陳するところがないのでその詳細を知るに由ないが、記録を調査するも原決定には何等違法不当の瑕疵は発見できないから、右抗告も理由がない。
(柳川 坂本 中村)